手の痺れの原因と症状

普段、いつものように生活をしていて、ふと手や指先に痺れを感じる事があります。
体の一部を酷使する運動や姿勢が続いた後なら、それが原因だとすぐに思い当たるでしょう。
しかし、特に思い当たる事も無いのに痺れが起こる場合、ちょっと注意してみると良いかもしれません。

そもそも痺れの原因は何なのかちょっと例に挙げてみたいと思います。

【神経を圧迫している】
長く正座をしていると足の先が痺れてくることがあります。
これは、一番下になっている足の末梢神経が、体重によって圧迫されてしまった事が原因と考えられます。
末梢神経には、部位によって様々な名称があります。
正中神経や尺骨神経など、あまり聞きなれないような名称がほとんどなのですが、手足や指のどの部分が痺れているかにより、どの末梢神経が圧迫されているか分かります。

【脊髄の障害】
痺れの原因が脊髄の障害である事もあります。椎間板ヘルニアなどは多くのスポーツで起こりえる症例ですが、スポーツ以外にも腰に負担をかけ続けたりなど、慣れない姿勢を続ける事で発症してしまう場合もあります。
治療には注射や内服による消炎鎮痛の他、コルセットや温熱療法、電気治療などがあります。
その他には脊髄のヘルニアなどがあります。これは脊髄瘤ともいい、脊髄が膨張し脱出して脳脊髄液がたまっている状態です。
首を反らせたり前傾させたりなどして、頚椎が変形してくると症状が強く現れる様になります。
椎間板ヘルニアと部位の違いはありますが、これも頚椎に負担がかかってしまっている為に起こる物です。
事故などの突発的なものの他に、加齢によって頚椎が変形してくる事あります。
やはり同じ姿勢をずっと続けたりしないことなど、首に負担をかけない事が症状を和らげる為に大切な事です。

【糖尿病】
血糖値が高い状態のまま放っておくと、手足や指先等、身体の末端部分から痺れが起きる様になります。
さらに放置を続けると他にも色々な症状が出てくる様になり、自律神経障害の場合は便秘や下痢などの排泄障害などのほか、運動神経障害の場合は顔面麻痺、筋肉の委縮など本当に大変な症状が出て来る様になります。
糖尿病による合併症では、元も多くみられるのがこの神経障害です。
結果、痺れだけでなく痛みや末端の感覚が鈍って来るという症状も出てくる様になると、自覚症状も感じない為に、発見が遅れることが多いのです。
近年では若年層の糖尿病も増えてきているのが現状ですので、血糖値の高さなどを健康診断で指摘された経験のある方は、特に意識するようにした方が望ましいでしょう。
また、痺れを感じて気になった場合、早めにきちんとした受診や処置を受ける様にして下さい。

先に上げた例でもわかるように、身体が病気になると様々な症状として出る様になります。
こういった症状は「病気になっているよ」と身体が知らせてくれるサインでもあります。
その痺れが「手」に限定して現われた場合、どのような病気が考えられるか、わかりやすい例で挙げてみましょう。

【腱鞘炎】
腱鞘炎の原因は、手や指を、ずっと同じ様な動きで長時間・日数に渡って酷使し続ける事によって起こりえます。
例えばピアノやギターを弾き過ぎたり、絵を描き続けたり、バスケットボールでずっとドリブルを繰り返し続けていたり、最近ではパソコンのタイピングで腱鞘炎を引き起こした、という例もあります。
炎症を起こしている訳ですから当然痛いのもありますが、同時に痺れが起こる場合もあるのです。
痛みや痺れを感じたり、疲れが取れていないような感じを受けるのであれば、湿布等で冷やして休ませる事が大切です。

【アルコール依存症】
極度または過度のアルコール摂取が原因で起こる痺れです。
末梢神経障害になると、両手足の末端がしびれ、動かせなくなり、鈍痛や激痛が起こります。
重症になると、専門機関での治療プログラムやカウンセリングが必要になります。
内臓への影響や、糖尿病の原因にもなりますので、ほどほどに嗜みましょう。

【薬物中毒】
ドラッグの摂取や農薬による中毒症状で起こります。
違法ドラッグのイメージが強いですが、通常の薬でも人によってはアレルギー反応で起こる場合があります。
処方された薬などに違和感を感じた場合などは、医師と相談の上、適切な薬を処方してもらうようにしましょう。

【脳に関係する病気】
脳梗塞、脳卒中、脳出血、脳腫瘍等の前兆として痺れが発生する場合があります。
脳の病気はとても大変な病気で、放っておくと急に倒れてしまい、その時点で手遅れになるケースも非常に多いのです。
脳の病気による痺れは、起きている時だけでなく睡眠中にも起こったり、痙攣として現れる事もあります。
急に半身に痺れが起こったり、また週単位や月単位に定期的に痺れが起こる場合は、特に注意が必要です。
他にも症状は痺れだけではなく、身体の麻痺や歩行困難、記憶や言語の障害、めまいなどがあります。
こういった痺れ以外の症状も併発している様であれば早目の受診をして下さい。

その他、絞扼(こうやく)性神経障害など神経が絞めつけられる事により、痺れが出てしまう病気などもあります。主だった物には「手根管症候群」と言う、神経そのものの障害を指している病気もあります。

人によって症状や頻度・程度は様々で、中には自覚症状に気付いていないこともありえます。
健康診断など定期的な受診も大切ですが、普段の生活の中での食事や体の酷使などで気になることや心当たりの症例が出た場合は、早めに周囲や医師に相談した方が良いでしょう。
病気の悪化を防いだり、かからないようにするには、やはり早期発見が一番の解決策でもあるのです。